ラベンデル冒険譚

第4章羽毛ミミック再び

6,974字約12分で読めます2026年10月27日
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「はじまりの洞窟、知ってるだろ」

ハンナさんが依頼書をカウンターに置いた瞬間、私の背筋がぴんと伸びた。

知っている。知っているどころじゃない。

「町の西の、初心者向けのダンジョンさ。新人の冒険者が腕試しに潜るところなんだけど、最近、奥の宝箱を開けた新人が、みんな笑い転げて逃げ帰ってくるんだと。羽毛の腕が生えた宝箱に、くすぐられたって」

「……羽毛の、腕」

「報酬は金貨七枚。あんたたちなら、慣れたもんだろ」

ハンナさんは、なぜか私の顔を見て、にやりと笑った。

二年前。駆け出しだった私は、「初心者向けなんて一人でも余裕」と豪語して、はじまりの洞窟にソロで潜った。いちばん奥で宝箱を見つけて、飛びついた。

宝箱は、羽毛ミミックだった。

羽毛に覆われた腕で、全身をくすぐられた。詠唱なんてできるはずもなく、笑って、笑って、笑い転げて、もうだめだと思ったところで、通りかかった僧侶が浄化の祈りで助けてくれた。

それが、ミレイだった。

ただし、助けに入るまで、妙に時間がかかった。理由を聞いたら、「声がとても楽しそうだったので、救助が必要か判断に迷ってしまって」と言われた。

あれから二年。私はもう、新人じゃない。

「受ける。今度こそ、あのミミックにリベンジしてやる」

私はカウンターを叩いて振り返った。

「ね、ミレイ」

ミレイは、少し遅れて、微笑んだ。

「……ええと。リリアちゃん、私、今日は少し、頭が痛くて」

「え?」

珍しい。ミレイが依頼を渋るなんて、二年間で初めてかもしれない。

「大丈夫? 休んでる?」

「……いえ。大丈夫です。行きましょう」

ミレイはいつもの顔で笑った。いつもの顔、のはずだった。


はじまりの洞窟は、二年前と何も変わっていなかった。

入り口に「初心者歓迎」の木の札。天井の低い通路。ところどころに置かれた、親切すぎる道しるべ。「この先、宝箱あり」。

「懐かしいなあ。あの角を曲がったところで、コウモリにびっくりして尻もちついたのよね」

「そうなんですか」

「そうなの。で、その先の広間に宝箱があって、私、迷わず飛びついたの。今思うと、罠の確認もしないで、ほんと新人だったわ」

私は胸を張った。

「でも、今の私は違う。宝箱を見たら、まず杖でつつく。これ、基本ね」

「さすがです」

ミレイの返事は、いつもより半拍遅かった。

振り返ると、ミレイは私の三歩後ろを歩いていた。いつもは隣か、一歩後ろなのに。それに、通路の脇に置かれた空の木箱の前を通るとき、ミレイはわざわざ反対側の壁ぎりぎりまで寄って歩いていた。

「ミレイ、何してるの」

「……埃が、すごいので」

埃。洞窟なんだから、埃はどこでもすごい。


広間に着いた。

二年前と同じ場所に、宝箱がひとつ、ぽつんと置いてあった。古びた木の箱に、鉄の金具。見た目は、ただの宝箱だ。

「よし。まずは、杖でつつく」

私は宝箱の前にしゃがみこんで、杖の先で、ふたをこつんと叩いた。

反応なし。

もう一回。こつん。

反応なし。

「……あれ? 普通の宝箱?」

ふたに手をかけて、少しだけ持ち上げてみる。中には、銅貨が何枚かと、「初心者のおまもり」と書かれた小袋が入っていた。本当に、普通の宝箱だった。

「なあんだ。ミミックは、もう別の場所に——」

膝の裏に、何かが触れた。

ふわっ、と。

しゃがんでいる私の、膝の裏。曲げた膝の、くぼんだところ。ズボンの布ごしに、何かやわらかいものが、そうっと撫でた。

「ひぁっ!?」

膝の裏の、内側の、骨と骨の間のやわらかいところ。そこから太ももの裏へ、ぞわぞわとくすぐったさが駆け上がった。

振り返る。

広間の隅の、私が「ただの木箱」だと思って素通りした、もうひとつの箱。そのふたが少しだけ開いて、中から、白い羽毛に覆われた腕が、にゅっと伸びていた。

「おや、つつかれたのはお隣でしたなあ」

箱が、しゃべった。のんきな、おじさんみたいな声で。

「ミ、ミミック……!」

「お久しぶりですなあ、お嬢さん。二年ぶりですかな」

羽毛の腕が、もう一度、膝の裏を、さわさわと撫でた。

「ひゃっ、ふふっ、ちょっと、やめっ……!」

膝の裏は、ずるい。くすぐったいのもそうだけど、触られると、力が抜ける。膝が勝手にかくんと折れて、しゃがんだ姿勢がぐらつく。

羽毛の腕は、一本じゃなかった。二本目が、反対の膝の裏にもぐりこむ。両方の膝の裏を、羽根の先で、くるくると円を描くように。

「くっ、くふふっ、ひっ、ひざがっ、ひざがぁっ……ふにゃっ」

膝が、両方いっぺんに抜けた。

私はしゃがんだ姿勢から、ぺたんと尻もちをついた。尻もちをついたら、膝の裏が床から浮いて、ますます無防備になった。羽毛の腕は、伸ばした私の膝の裏に、ぴたりとはりついた。

「あははっ、やっ、やめなさいってばっ、ははっ、あはははっ!」

ズボンの上からなのに、羽毛の一本一本の動きがわかる。膝の裏のくぼみを、羽根の先が、何度も何度もなぞる。足がびくびく跳ねて、勝手に宙を蹴る。

だめ。このままだと、二年前と同じだ。

私は笑いながら、床を手で押して、お尻で後ろへずりずりと下がった。羽毛の腕が追いかけてくる。でも、箱からあまり遠くまでは伸びないらしい。三回ずり下がったところで、腕がぎりぎり届かなくなった。

「ぜえっ、はあっ……」

広間の入り口まで這っていって、壁に背中をつけた。膝の裏が、まだ、ぞわぞわしている。

ミレイは、広間の入り口の、さらに外にいた。

「……リリアちゃん、大丈夫ですか」

「大丈夫じゃない。なんで、そんなに遠いの」

「ええと」ミレイは、ミミックの箱から目をそらした。「埃が、すごいので」


広間の入り口で、私は作戦を考えた。

「あのミミック、箱から遠くまでは腕が伸びない。だったら、近づかないで、遠くから魔法でふたを縛っちゃえばいいのよ。束縛の魔法。ふたが開かなきゃ、腕も出せない」

「なるほど」

「で、縛ったところを、ミレイの浄化で追い払う。完璧でしょ」

「……私の、浄化で」

ミレイの声が、ほんの少し、小さくなった。

私はミレイの顔をのぞきこんだ。

「ねえ、ミレイ。今日、ずっと変じゃない? 箱のそば、ずっと避けてるし」

「避けてなんて、いませんよ」

「埃のせいって言うけど、ミレイ、去年の大掃除のとき、ひつじ亭の屋根裏に平気で潜ってたじゃない」

ミレイは、少しの間、黙った。

それから、いつもの微笑みを、ゆっくり作った。

「リリアちゃんの、二年前のことを思い出していたんです。リリアちゃんが、あの箱にくすぐられて、すごく大変そうだったから」

「……そ、そう?」

「ええ。だから、今日はリリアちゃんが心配で」

なんだ、そういうことか。

ちょっと、嬉しかった。いつも私をおとりにしているミレイが、私の心配をしてくれていたなんて。

……いや、待って。それなら、二年前、もっと早く助けに来てくれてもよかったんじゃない?

聞こうとしたときには、ミレイはもう、祈祷書を開いていた。


広間の入り口から、私は杖をまっすぐミミックの箱に向けた。

距離は十分。腕は届かない。

「見えざる鎖よ、我が声に応え——」

足もとの床が、ぱかっと開いた。

正確には、床に埋めこまれていた、三つ目の箱のふたが開いた。広間の入り口の、私が立っていた石畳。その一枚が、宝箱のふただった。

「なっ——」

落ちた。足から。

腰まで、すっぽり、箱の中に落ちた。

「ようこそ、ようこそ」

足もとの暗がりから、さっきと同じ、のんきな声がした。

「……え、あんた、さっきの箱じゃ」

「あっちは、手だけですわ。本体は、こっちでしてな」

箱のふたが、私の腰のまわりで、ぱくんと閉じた。痛くはない。ふたの縁にも羽毛がびっしり生えていて、ふかふかと腰を包みこむ。でも、抜けない。上半身だけを宝箱から生やした格好で、私は完全に捕まっていた。

箱の中で、何かが、私のブーツの紐をほどいた。

「ちょっ、何して——」

ブーツが、すぽん、と脱がされた。右も、左も。

靴下も、するすると。

素足が、箱の中の、あたたかい暗がりにさらされた。

いやな予感、なんてものじゃなかった。

「や、やめて、それだけは、ほんとに——」

羽根の先が、足の裏に触れた。

かかとの、少し前。土踏まずの、始まるところ。

すうっ、と。羽根が一本、土踏まずのいちばんへこんだところを、かかとからつま先のほうへ、ゆっくりなぞり上げた。

「——っっ!!」

声にならなかった。

足の指が、全部、ぎゅうっと丸まった。足首から、ふくらはぎから、背中まで、電気みたいなくすぐったさが一気に駆け上がって、宝箱から生えた上半身が、びくんと大きくのけぞった。

羽根は、もう一度、同じところをなぞった。今度は、もっとゆっくり。

「ひっ……ひぃぃっ……! あし、あしのうら、だめ、だめっ、ふひっ」

逃げられない。足を引っこめようにも、箱の中は狭くて、どこにも引っこめる場所がない。足の指を丸めても、土踏まずは守れない。土踏まずを床に押しつけようとしても、箱の底にも羽毛が敷きつめられていて、押しつけたところが、またくすぐったい。

「お嬢さん、足の裏、昔とお変わりないですなあ」

「おぼえ、てなくて、いいぃっ……!」

二本目の羽根が、足の指の付け根に来た。

指と指の間の、付け根の、やわらかいふくらみ。そこを、羽根の先が、ちょんちょんと、一本ずつつついていく。親指の付け根、人さし指の付け根、中指の——

「ひゃっ、ひゃっ、ひゃっ、ひゃうっ!」

つつかれるたびに、足の指が一本ずつ跳ねる。

三本目。四本目。羽根が、増えていく。土踏まずを撫でる羽根。指の付け根をつつく羽根。かかとのまわりをくるくる回る羽根。足の甲を、すうっと撫でる羽根。

そして、全部の羽根が、一斉に、こちょこちょと動きだした。

「——ぶはっ! あっはははははははっ! あーっははははははっ! だめっ、だめだめだめぇっ、あしっ、あしがっ、きゃあっはははははっ!」

決壊した。

宝箱から生えた上半身が、右へ左へ、めちゃくちゃに揺れた。両手で箱の縁をばんばん叩く。叩いても、箱はびくともしない。箱の中で、足が、自分のものじゃないみたいにばたばた暴れている。でも、どこに逃げても、羽根がついてくる。

「ミレイっ! ミレイいぃっ! じょうかっ、じょうかぁぁっ!」

広間の入り口のすぐ外で、ミレイが祈祷書を開いていた。

「は、はい。天におわす、光の御方よ……」

声が、震えていた。

いつものミレイの祈りは、もっと、すらすらしている。今のミレイの声は、ひと言ごとに、つっかえていた。祈祷書を持つ手も、少し、震えていた。

「……その、清き、御光もて……」

遅い。いつもより、ずっと遅い。

「ミレイっ、いそいでっ、いそいでぇっ! ひーっ、ひーっ、ふはっ、ふははっ、もうっ、もうむりぃぃっ!」

羽根が、土踏まずの真ん中で、くるくると小さな円を描きはじめた。いちばん効くところを、見つけられた。

「いっ、いひゃーーっ!? そこっ、そこぉぉっ、ひゃははははははっ!」

だめだ。ミレイを待っていたら、間に合わない。自分でなんとかしないと。

私は笑いながら、杖を握りなおした。束縛の魔法。もう一度。箱のふたを縛って、羽根を止める。

「み、見えざる、くさりよっ……ふひゃっ、わ、我が声に、こたえ……っ」

羽根が、足の指の間に、するりともぐりこんだ。

「——しばれへへへっ!?」

杖の先から、きらきらした光が、ふわっと飛び出した。

光は、ミミックの箱には向かわなかった。くるりと宙を一周して、私の頭の上に降りてきて、私の前髪を、ちょこんと、リボンで結んだ。

かわいい、蝶々結びだった。

「……なんでよぉぉっ!!」

「おや、お似合いですなあ」

ミミックが感心したように言って、お祝いみたいに、羽根を全部いっぺんに動かした。

「ぎゃっはははははははっ! にあってなっ、にあってなくていいからぁぁっ! はひゅっ、ひゅうっ、ひゃーーっ!」

笑いすぎて、目の前がちかちかする。お腹がよじれて、息が吸えない。足の裏から送りこまれてくるくすぐったさが、体じゅうを何周もぐるぐる回って、出口が口しかない。だから、笑うしかない。

縛れないなら、眠らせる。眠りの魔法なら、短い。三節で終わる。

「や、やすらかなる、まどろみよっ……か、の者の、まぶたに……」

羽根が、かかとの丸いところを、くるりとひと撫でした。かかとなんて、硬いから平気だと思っていた。平気じゃなかった。

「——おりへへへっ!?」

杖の先から、紫色のもやが、ふわふわと漂い出た。

もやは、ミミックの箱を素通りして、広間の天井へのぼっていった。天井の岩の割れ目から、コウモリが一匹、ぽとりと落ちてきた。床の上で、すやすやと寝息を立てている。

二年前、私が尻もちをついた、あのコウモリの子孫かもしれない。だとしたら、ちょっとだけ、仕返しができた。

ちっとも、うれしくなかった。

「お嬢さん、いい魔法ですなあ。わしも、ちょいと眠くなってきましたわ」

ミミックは、あくびをしたみたいに、ふたをかぱっと鳴らした。

それから、眠気覚ましとでも言うように、羽根の動かし方を変えた。

今までの、くすぐる動きじゃない。羽根の束で、足の裏全体を、上から下へ、下から上へ、ほうきで掃くみたいに、ざっ、ざっ、と往復させはじめた。一回掃かれるたびに、足の裏じゅうの神経が、いっぺんに目を覚ます。

「ひゃーっはっはっはっはっ!? はくのっ、はくのやめっ、そうじじゃないんだからぁぁっ! ふぎゃっ、ふぎゃははははっ!」

掃く。つつく。くるくる回す。また掃く。足の裏の、どこにも休むところがない。かかとも、土踏まずも、指の付け根も、指の先も、全部、順番に、ときには一斉に、羽根がやってくる。

声が裏返って、もう一度裏返って、自分でも何の音なのかわからない音になる。笑っているのか、泣いているのか、叫んでいるのか。たぶん、全部だった。

「……天におわす、光の御方よ」

ミレイの声が、すぐ近くで聞こえた。

いつの間にか、ミレイが、私のすぐ横に立っていた。宝箱から一歩だけ離れた、ぎりぎりのところ。顔が、少し青い。祈祷書を持つ手が、白くなるくらい、ぎゅっと握られている。

「その清き御光もて、迷える者を、あるべき場所へ導きたまえ」

最後の一節は、震えていなかった。

ミレイの手のひらから、白い光があふれた。


光が広間を満たして、羽根の動きが、ぴたりと止まった。

「おっと、これはかなわん」

ミミックの声がした。足もとの箱のふたが、ぱかんと開く。私は力の抜けた体で、箱の縁にしがみついて、ずるずると外へ這い出した。

裸足の足の裏が、ひんやりした石の床について、ようやく、笑いが止まった。

光の中で、宝箱が、ことことと後ずさりしていく。広間の奥の暗がりへ、逃げていく。

その途中で、ミミックのふたが、ミレイのほうを向いた。

「おや。そっちの姉さんは、前にも——」

「天におわす光の御方よ、その清き御光もて!」

ミレイの二度目の祈りが、ミミックの言葉をかき消した。今までに聞いたことがないくらい、速くて、大きな声だった。

光が弾けて、ミミックは、広間の奥の暗がりに、ぴゅうっと消えていった。

広間が、静かになった。

私は床にへたりこんだまま、ミレイを見上げた。

「……ミレイ。今、ミミック、何て言ってた?」

「さあ。よく聞こえませんでした」

「前にも、って」

「よく聞こえませんでした」

ミレイは、いつもの微笑みで私を見下ろしていた。いつもの微笑み。でも、祈祷書を握る手は、まだ少し、白かった。

「それより、リリアちゃん。リボン、とても似合っていますよ」

「……ほどいて」

「もったいないです」


ミミックが逃げていったあと、広間の奥の暗がりに、空っぽの宝箱が一つ残されていた。ミミックの本体が入っていたほうの箱だ。中身が抜けて、ただの木箱になっている。

何かの手がかりになるかもしれない。私は裸足のまま近づいて、箱の中をのぞきこんだ。

底に、焼き印が押してあった。

『ギルド・ラベンデル出張所 備品』

「……備品?」

ミレイも、私の肩ごしにのぞきこんだ。

二人で、しばらく、その焼き印を見つめた。

「リリアちゃん。これ、つまり」

「新人をくすぐって追い返してたミミックが、ギルドの備品」

「ということは」

「誰かが、わざとここに置いてた」

ギルド・ラベンデル出張所の備品を管理しているのは、一人しかいない。


ギルドに戻って、報告書と一緒に、焼き印のことを話した。

ハンナさんは、金貨七枚を数える手を、止めなかった。止めなかったけれど、一枚、数えまちがえた。

「……備品の管理も、受付の仕事でね」

それだけ言って、ハンナさんは、窓の外を見た。

いつもなら、ここで豪快に笑うはずだった。でも、ハンナさんは、窓の外の、森のほうを、じっと見ていた。

「ハンナさん。あのミミック、新人を鍛えるために、置いてたの?」

「さあね」

「二年前、私が捕まったときも?」

ハンナさんは、ようやく、こっちを向いた。それから、私の前髪のリボンを見て、ふっと笑った。

「似合ってるじゃないか、それ」

話をそらされた。ミレイと、まったく同じそらし方だった。

ひつじ亭への帰り道、ミレイはずっと黙っていた。私も、なんとなく、黙っていた。

夜、ベッドに入ってから、私は天井を見ながら考えた。

前にも、って、何のことだろう。

隣のベッドから、ミレイの寝息が聞こえる。窓辺では、エルダさんにもらったツタの鉢が、月明かりの中で、葉っぱを一枚、こちらに向けていた。

リボンは、まだ、ほどいていない。